主任警部モースS5E5【約束の地】
このエピソードでシーズン5は終了となりますが、今回はオーストラリアが出てきます。
主任警部モースで外国は初めてでは?
ここ最近「新米刑事モース」の方を見ているおかげで、偏屈モースが少しだけ可愛らしく思えていたんですが、やっぱりジョン・ソウさんの方はひねくれ親父ですね(褒めてます)
しょっぱなからパワハラ全開のモースを適当にあしらっているルイスが愛おしい。処世術の心得が素晴らしい。
獄中でピーター・マシューズという罪人がエイズで死亡する。
その葬儀が執り行われているのを、モースやストレンジ警視正は遠巻きに眺めていた。
ピーターはある銀行襲撃事件の運転手役として投獄されていたが、父親はタブロイド紙に息子の無罪を主張する記事を寄稿していた。
ストレンジはその記事を読んで激怒する。そして、その事件の重要証言を行ったケニー・ストーンズに会いに行けと指示を出した。
彼の証言に嘘はないと確信しているモースだが、それでも変にゴシップ記事を書き立てられるよりはマシだろうとストレンジは念押しした。
その事件で警察官も殉職し、襲撃に加わったギャングたちも収監されてしたが、証拠は不十分。
このままでは証言が覆り、罪人が野放しになるのではないかとストレンジは危惧していた。
マシューズ一家の勢ぞろいにモースは「犯罪一家が一堂に会している」と評するが、その参列者の中にある男を見つける。
それがノミ屋をしているバーニー・ウォーターズだった。ピーターの葬儀に、名前のない花輪が届けられていたが、その差出人をたどるとラリーという男からだった。
ラリーからの指示で手下のバーニーが葬儀の手伝いをしているのではないかとモースは考えた。
一方ルイスは、地元新聞の編集局が何者かに襲撃された現場を確認。
特に盗まれたものはなく、子どもによる襲撃ではないかと仮説を立てて警察署へ戻り、モースと合流した。
そこへストレンジがやってきて、ピーターの事件の再審理が決まったと言われてしまう。
ケニーの証言が不十分かもしれないとモースは考え、彼に会いに行くことを決意。
半ば強引に荷物持ちとしてルイスを同伴させることにする。
その行先は、オーストラリアだった。
ケニーはマイクという偽名を使ってオーストラリアで保護された生活をしていた。
広大な土地、のんびりとを車を走らせるモースとルイス。持ってきたはずのクラシックのテープが見つからずイライラするモースと、ぴったりの音楽があると言ってカントリーミュージックを流すルイス。
モースは「しょうもない音楽だ」と酷評するが、ルイスは適当に聞き流して、オーストラリアドライブを満喫する。
ケニー(マイク)の居る街に到着すると、人っ子一人街にはいない。近くのバーへと向かうと、そこには溢れんばかりの人だかりが。
その日はメルボルン・ダービーが行われていた。
そこでマイクのことを尋ねると、通りの奥に店があると教えてもらい二人は訪ねたが、彼は不在のようだった。
次に彼の住まいを訪ねることにした二人。するとマイクの娘が出てくるが、マイクは不在だった。
そこへマイクから電話がかかってきて、通話を代わってもらったモースだったが、マイクは何も言わずに切ってしまう。
困ったモースたちは、マイクの妻アンが居るという老人ホームへと向かった。そこには彼女の母が入所していた。
そこではあわただしい空気が。アンの母親が暴行を受けて負傷していた。
さらに彼女の居室が何者かに荒らされており、突然現れたモースたちにアンは苛立った。
「もしかして、私たちの居場所がアイツらにバレたってこと?」
それはあり得ないと否定したモース。旧友に会いたくて来ただけだと弁解するが、彼女のつんけんした態度は変わらない。
マイクは競馬で負け続けて、先週家を出て行ったのだという。
それを聞いたモースは、この地に来てなお、イギリスでの生活と同じような日々を過ごすマイクに呆れた。
そこへ地元警察が現れたことから「推理はそちらに任せよう」とモースは言い、老人ホームをあとにしようとする。
駐車場へと出てきた二人だったが、正面にとまっている車が「かっこいい」と気になったルイス。
その車に近づくが運転手が顔をそむけた。モースに引き留められて自分の車に戻ったルイスだったが、その運転手は意味深に二人の背中を追いかけていた。
モース達は、老人ホームの看護師に事情聴取をしている警官スコットの話に聞き耳を立てていた。
スコットは看護師の話を聞かずにマイクが犯人だと決めつけた態度を取る。
それを見たモースは「間違った結論に飛びついている」とルイスに言った。
スコットは二人を見て「マイクの友人だろう?アリバイを証明できなければ、まずいことになる」と言う。
マイクの評判は悪く、馬券売り場でもめ事を起こす常習犯として警察からもマークされていた。
モースは自分たちが刑事であることがばれないようにするため、英国政府の依頼で温暖化調査をしていると嘘を吐き、事件について調べることにする。
アンに自分たちがマイクに会いに来た真の目的を話すことにしたモース。
「ピーターが刑務所の問題でエイズになって死んだんだが、その葬儀にラリーの手下のバーニーが参列していた。
もしマイクが彼らのつながりを証言してくれれば、本物の悪党ラリーが投獄されることになる」
再度裁判で証言すれば身の保証は保たれず、今の些細な幸せを続けられないと言ってアンは拒絶。
それでも証言をしてほしいとモースは粘ったが、身勝手な言い分だと言って突っぱねた。
モースは警察署へ向かい、スコットに話を聞いた。
マイクにはデイビッドという息子がいたことを思い出し、彼の行方を尋ねると、少し離れた町で一人、身を立てているという。
アンを家まで送ったルイスはモースとホテルで合流。
アンの家に、彼女の母リリーが購読していた新聞があったことが気になっていたルイスは、そのことをモースに報告した。
「あの新聞には、ピーターの獄死のことが一面に出ていました。なのに、彼女はそれを知らないふりをした」
ルイスの発見に驚くモース。ルイスが正しいならば、アンはなぜモースたちに嘘を吐いたのか。ルイスは続ける。
「あの新聞を発行したのは、侵入されて何も取られなかった『あの新聞社』です。犯人が捜していた物は購読者名簿ですよ」
購読者名簿から、マイクの義母リリーにたどり着いた犯人はモース達よりも先にリリーに接触。
マイクの行方を捜したが、リリーは会話が不自由のため暴行。部屋を荒らしてマイクにつながるものを探した。
「もし、そいつらがマイクを追っているとしたら、アンが怯えるのも当然です」
その意見を採用したモースはスコットに依頼して、アン家族の警護をしてもらう。
翌朝ルイスがアンの警護についた。
子どもたちに絵本の読み聞かせをして、すっかりなじむルイスだったが、そこへアンに電話がかかってきて聞き耳と立てた。
すると相手は分からないが「ばれてない」「冷静に対応する」「愛している」と怪しい単語を連発するアン。
一方でモースはマイクの息子デイビッドの居る羊毛工場へと向かう。
マイクの行方を知りたいというが、デイビッドも知らなかった。
アンの母リリーの容態が急変。ルイスとアンは急いで病院へと向かったが亡くなってしまう。
その間に帰宅した娘のカレンが何者かに誘拐されてしまう。彼女の伝言が入ったテープを見つけたルイスが再生すると、
「男の人に誘拐された。パパと話がしたいと言っている。一日以内に帰ってくるようにパパに伝えて」
その言葉に戦慄するアン。ルイスはそんなアンを慰める。そこへモースが戻ってくるが、アンはブチギレた。
「あなたのせいで、家族はめちゃくちゃ。イギリスの連中が私たちの居場所を知って、追い詰めている。本当の目的は何??」
ラリーの投獄だとモースは言うが、アンはそんなものは重要ではないと声を荒らげた。
娘を救うためには警察にすべてを話すほかないとモースが説得し、彼女を警察へと送ることにするが、ルイスはそんなモースに朝の出来事を話す。
「彼女は嘘を吐いていますよ。マイクの居場所を知ってる。今朝、電話していましたから」
警察署に出向いた一向。モースとルイスは自らの身分を明かした。
誘拐事件まで発生し、捜査員が二人追加され、モースはマイクがオーストラリアへとやってきた経緯を話す。
厄介なことをオーストラリアに持ち込まないでくれと呆れる地元警察。さらにアンはこの期に及んでもまだ本当のことを話そうとはしない。
地元警察は、マイクがカレンを誘拐して母親を強請っているのではないかと考えていた。
ホテルへと戻ってきた二人は推理を巡らす。
「なぜアンは嘘を吐く?」
モースの問いかけに、ルイスは「我々から身を守るためでしょう?」と返した。
マイクが弱っていて、夫から自分たちを遠ざけようとしているのではないかとルイスは言ったが、それをモースは否定する。
マイクはそんな軟な男ではないというのだ。
「あいつはパスカルを信じるだろうな。宗教を信じるか否かに理由はない。神や死の世界の有無を賭けで決めているようなものだ……(パスカルは)そういう言葉を残している」
ギャンブラーのマイクなら、死は選ばないだろうとモースは考えていた。
そんなモースに対し「深刻なビール欠乏症ですね」と応じるルイス。
ルイスが神の存在を信じるかとモースに問うと、彼は少し悩んで、居てほしいと思うと答えた。
ルイスは夕食までスイミングを堪能。その後モースとともにBBQを楽しむことに。
そこへマイクの息子デイビッドが現れる。モースが帰った後すぐに、マイクから電話があったのだという。
地元警察に知らせぬままマイクに会いに行こうとするモースを止めるルイス。(越権行為だし、危ないしね)
しかしモースはBBQでもしていろと言って出発してしまう。
ルイスはアンを心配して地元警察へと顔を出した。彼女は鎮静剤を飲んでぐっすり。安心したルイスはスコットを飲みに誘う。
「モースってのは横柄な奴だな、君も組んで大変だろう?」
「まあ仕方なく組んでいるよ(えええええええええ!!!!)」
すっかり打ち解けた二人。警官という多忙な職業には妻という存在が必要だとのろけるルイスだったが、それを聞いてスコットは苦い顔をした。
モースはデイビッドの案内で人里離れた採石場までやってくる。そこがマイクの隠れ場所だという。
寝泊まりのできるバンに声を掛けるデイビッド。しかしマイクの応答はなく、車の扉を開けると彼の遺体が滑り落ちてきた。
翌朝、、捜査が始まるが、地元警察の見立てでは自殺。彼自身が銃を握っていた。
誘拐犯は娘を解放しないまま、モースはお手上げ。そんなモースをルイスは励ます。
「まず、自殺だとして動機を探しましょう。それに気になることがあるんです」
昨晩スコットと飲み明かしたルイスは、彼の言動が気になっていた。どうもアンとの関係を感じてしまったのだ。
「もしかしたら、アンとスコットは男女の関係で、それをマイクが知って悲観したのかも」
「でもお前が聞いた電話で、アンは相手に『愛してる』って言ったんだろう?」
「それがマイクだとは限らないでしょう」
アンに事情を聞きに来たモースだが、夫を失いアンは激怒。それでも嘘を吐いているだろうとモースは彼女を追及する。
「ここ(オーストラリア)に来たこと自体が嘘なのよ。夫の自白は嘘!あなたはそれを信じただけ。ピーターは無実よ。彼は犯行当日、別の場所に居た。
犯行に加わっていたのはラリーの娘婿よ。でもそれを口にはしなかった。それが、私たちの身の安全を保障してもらうための保険だった。
でもあなたたちがここへやってきて、夫は自分の自白が嘘だったと警察にバレたんじゃないかと思った。だから家に帰ってこなかった」
その言葉にモースは愕然とする。
そこへ電話が鳴り、相手はカレンの誘拐犯だった。誘拐犯はまだマイクが死んだことを知らなかった。
ということは、マイクを殺した犯人ではないことになる(自殺の線が濃厚に)。
モースが受話器を奪うと、相手はイギリス英語を話していた。モースはマイクが死んだことを伏せて、必ず会わせると約束する。
ピーターの葬儀のニュース映像をモースたちは地元警察と確認。するとその中に見覚えのある人物がいることにルイスが気づく。
「この男が、リリーのいた老人ホームの駐車場に居ました。からし色のバンに乗っていた」
その男はピーターの弟ポールで、前科なし。車の手配が行われ、捜索が始まる。
そして目撃情報から、廃駅へと向かっていることが判明し、モースは向かうことに。
モースはルイスに胸の内を吐露した。
「私は無実の人間を投獄しないことに誇りを持っていたが、ピーターは無実だった。私の責任で、ピーターも、リリーもマイクも死んだ。
私の同僚のロンが銀行襲撃事件で殉職した時、復讐を誓ったが、その激しい感情が判断を鈍らせたんだろう」
自責するモースをルイスは慰める。
「いつも警部は自分を責めすぎです。私も一緒に行きますから」
周囲を警察が固める中、モースは廃駅へと向かった。そこには例のバンが停まっていた。
ポールはモースを銃撃(当たらない)。
「私がマイクの自白を信じ、ピーターを投獄した。責められるべきは私だ。一生、自責の念とともに生きる。だから殺人はやめろ」
モースの説得に、ポールは混乱する。
「何のことだ」
「ピーターは無実だ。本当に投獄されるべきはラリーの娘婿、ラリーの一族なんだ」
葬式に献花をしてくれたラリーがまさか自分の兄を陥れていたとは知らず、ポールは混乱。
さらに現場に駆け付けたアンが暴走し、ポールは発砲。その弾はスコットに命中し即死。
ポールはほかの警官によって射殺される。血しぶきを受けたモースは、すべてが悲劇的な結末を迎えたことに天を仰いだ。
全てが終わり、モースはアンにスコットのことを尋ねた。マイクが家を出たのは、ルイスの見立て通り、スコットが原因だった。
夫に対しては誠実さを持てなかったとアンは言う。
「イギリスに来て、自らの手ですべてを終わらせよう」
そう提案したモースにアンは頷いた。
その光景を見ていた息子のデイビッドは「これで真実が見えた。ようやく新しいスタートが切れる」と前向きに言う。
その精神の強さをモースは褒めたが、デイビッドは答えた。
「この国の人間だからね」
ルイスはオペラ鑑賞のためにモースをシドニーまで連れてきた。(ばらの騎士だったかな)
妻がオーストラリアに来るらしく、合流して数週間のバケーションを過ごすのだとルイスは嬉しそう。
オーストラリアに来る前に「休みなんて取るな」とパワハラしてきただけに、モースに「本当に休みを取っていいのか?」とルイスは確認する。
気分転換をした方がいいというモースの言葉を有難く受け取って、モースにも気分転換を進めたが、イギリスへ帰って仕事をするのだと答えた。
「おしゃべりな私が居ないと、静かに本が読めますね」
ルイスの気遣いに気づき、苦笑して頷いたモース。
港見物へと向かったルイスを見送って、オペラハウスの階段を上っていくモースだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
今回の「約束の地」は「promised land」が原題です。
私はラルクアンシエルというバンドが好きでして、たしかアルバム「HEART」に同名の曲は入っていたように記憶しています。
ケニーに会うためにオーストラリアの地に降り立ったモースとルイスはその豊かな自然を前に「ここは約束の地だ」という会話をします。
ルイスがモースに対して「あなたは神ということですね。ケニーに約束の地を与えたでしょう?」というのですが、そこから何かしら宗教的な意味があるのを感じて、無知な私は調べました。
“ヘブライ語聖書に記された、神がイスラエルの民に与えると約束した土地。この約束は、アブラハムに最初に与えられ、息子イサクに、イサクの息子であるヤコブにも与えられた”(引用:Wikipedia)
とのこと。難しい。ですが、意訳すれば「安住の地」とでも解釈すればいいでしょうかね。あれ?ラルクの曲はもう少し物騒な歌詞だった気がするなあ……?
ちょこちょこ気になったシーンをまとめ。
冒頭、ピーターという罪人がエイズで死んだわけですが、それに関してルイスがアンに説明するとき「刑務所である問題が起きてエイズで死んだ」と言います。「ある問題」て掘られたってっことでしょうか?
モースは街のレストランでマイクに再度証言してほしいと思っている意を伝えますが、アンに突っぱねられます。
その後、困ったモースはルイスに彼女を家まで送ってやれと言います。
「北部人の魅力で懐柔しろ」と指示を出すわけですが、どうなのその言い方~wモースとルイスの関係性だからOKなんじゃないのかしら。最初のあたりは「田舎モンだ」とルイスのことを馬鹿にしてた記憶もある。
たしかルイスはニューカッスル出身だったはず。まあ私がアンだとして、モースよりはルイスに家まで送ってほしいですね。優しそうだから。
二人が宿泊するホテル(そんなに立派いには見えなかったけど)でもJCBカードは使えました。海外ではほとんど使えないと聞きますが、そのホテルでは使えるようで一安心(JCBユーザーです)
モースが機械音痴であることはたびたび言及されていましたが、まさかホテルのエアコンさえ点けられないとは!!もう心配!!そういう庇護欲をそそるのはやめてほしい。ルイスもちゃんと教えてあげて偉い。
時々イライラして適当にあしらっているのもGOOD。
オーストラリアの夜をBBQで過ごす二人、可愛い!!
牛肉は医者にストップをかけられているといって、好きでもないチキンを頼むモースwしかしセルフで焼くスタイルだとルイスに言われて驚くわけです。サーブしてくれんのかい!と思ったんだねw
さてその他事件に関する感想ですが、……長い!!
冤罪で人が死んだことから、舞台がオーストラリアに展開するまさかの流れ。
アンは「あんたのせいで人生めちゃくちゃ」とモースに罵声を浴びせますが、え、まって?偽証したのはあなたの夫ですよね?と思ってしまった。
まあ偽証しなければ、命が危ないとなれば、仕方なく嘘の証言もするかなと思ったり。
でも、その偽証を信じたモースを責め立てるのはお門違いなのではないかと思えてなりません。
その点に関しては、ポールにも若干の同情をしてしまいます。
オーストラリアという国のまぶしい部分がよく見えたエピソードでした。
青々とした緑、綺麗な空、どこまでも広がる畑。広大な土地です。人もおおらかで、がやがやしている。
イギリス人がきっちりシャツを着ているのが堅苦しく思えるくらいでした。
英語の発音も何となく違う感じがしたしね。
その中でアンの息子デイビッドの発言が面白いなと感じました。
最後、モースと別れるシーンで言った「この国の人間だから」という言葉。
彼はオーストラリアで別人になったんですね。オーストラリアの国民性ってどうなんだろうと思いましたが、おおらかで自己表現ははっきりしてそうだなと思いました。島国だから排他的でもあるのかな?
そういった世界に幼いころにイギリスから(親の都合で)仕方なく移住してきて、たくましく生きてきたデイビッドだからこそ、そういう発言だったのかなと思います。もう過去を捨てたのでしょう。
そして最後はやっぱりモースとルイスの二人について。
シーズン4のラストが「魔笛~メソニック・ミステリー~」だったのですが、モースがぼろぼろでしたよね。
シーズン5ラストの今回も同様です。モースがボロボロ。
自分が痛めつけられていくのではなく「自分の信じていたものが嘘だった」「それによって奪われる必要のなかった命が消えてしまった」さらに「アンからの罵倒」とまあ、メンタルダメージがめちゃ大きかった。
その中でルイスとの時間がより引き立っていた気がします。
異国の地で、自分の気心知れる相手はルイスしかいないんです。
無理やり連れてきて、相変わらず横柄な態度を取っているモースですが、それでもルイスはいつも背中を押してくれる存在だし、ピシャっと物を言ってくれる存在でもある。
深刻になりすぎないように茶化したりもしてくれて、ルイスが部下で本当に良かったなと私が思っています。
モースに気を遣いすぎることなく、気ままにやっているけど、ちゃんと寄り添っているっていうかね……とにかくキュンと来ました。
その中で物語の最後のシーンが印象的でした。
オペラハウスの大階段の前でお話しする二人。
妻との観光旅行が待ち遠しくてルンルンのルイス。モースはばらの騎士を観劇しに向かうわけですが、
「開演まで一時間あるんだ」とモースは何か奥歯に物が挟まった言い方をします。きっと少しビールでも飲まないかって言いたかったのかも。
でもモースってそういうの言えないんですよ。だから、ルイスに「この後は何するの?」と聞くんです。
ルイスは「船の見物でもしますよ、観光地ですからね」と飄々と返すんです。それに対してモースは、楽しんでこいと言って見送る。
ルイスはエピソードの途中、スコットとの飲みのシーンで「仕方なくモースについている」と愚痴を言いますが、それは半分本音で半分は冗談もあると思います。
モースもモースで、ひねくれものだからルイスに意地悪なことばかり言ってしまうけど、どこか遠慮もしてる。
最後のシーンだって、モースは気落ちしていたから「ビール飲もうぜ」と誘ったら、ルイスはモースの気持ちを汲み取ってOKしてくれたと思うんですけど、モースはそれを口にしないんです。
これは完全に私の妄想ですが、ルイスも最後、なんとなくモースの心中を察していたのではないかと思うんですが、あえて察しなかったのではと。自分で妄想しておきながら無責任ですが、その理由は想像がつきません。
でも何となく思うことはあります。
モースとルイスの関係性がとても愛おしいのは、メンタルがズブズブのバディじゃないからなんですよね。
モースは横柄なひねくれ者だし、ルイスは楽観的だけど真面目。互いに認め合っているし(滅多に口にしないけどね)、気を遣いあってる。付かず離れずの距離感なんだけど、互いに相棒だと思っているってのが魅力的なのです。
最後のシーンは、その絶妙な距離を保つ気遣いもあったんじゃないかと私は妄想してしまいます。
ここまで読んでいただきありがとうございました(^^)
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