刑事コロンボS3E2【別れのワイン】
2020年08月19日 公開
シーズン3エピソード2【別れのワイン】のあらすじ&最後までのネタバレです。
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異母弟のリックが所有するワイナリーの経営を任され、ワインづくりにすべてを捧げるエイドリアン。
しかし結婚を控えたリックは、手っ取り早く金が欲しくなり大手の酒造会社にワイナリーを売ると宣言。
口論となり激高したエイドリアンはリックを激しく殴打し失神させる。
彼をワインセラーへと運び、空調を切って置き去りにしてニューヨークへと旅立った。
行きの飛行機内で秘書に
「弟がアカプルコで結婚するらしいから、5000ドルの小切手を切ってやってくれ」
そう伝えたエイドリアンは、NYのオークションで高額なワインを競り落とす。
その頃、リックの婚約者が彼が行方不明になっていることを心配し、警察へと駆け込んでくる。
しかし家出捜索係は不在で、コロンボが対応。最初は門前払いをするが、事情を聞いたコロンボは「自分もイタリア系だから、心配だ」と言って調べてみることに。
アカプルコには兄のエイドリアンからも手紙が届いたらしく、リックと最後に連絡を取った時は兄の家に向かうと言っていたと婚約者は言った。
数日後に帰宅したエイドリアンは遺体を海絵と投げ落として、ダイビング中の事故を偽装する。
リックの遺体が見つかり、コロンボは婚約者に報告。リックの兄エイドリアンには警察から伝えた方がいいかと聞くと、婚約者の友人たちが口々に
「兄さんとは不仲で、ワインオタクの変わり者だったし、リックも兄のことを嫌っていた」
と言う。どうやら、今回の結婚を機に、経営権を他社に売ろうとしていたことが明らかになり、コロンボは事件に裏があるのではないかと考え始めた。
その後、バーで飲んでいると、事件の詳細がニュースで流れる。スポーツ万能のリックが岩に頭をぶつけて死亡したおとがどうしても納得できない。
事件のあった火曜日の天気が気になるコロンボはその場にいる客全員に質問するが、答えは返ってこなかった。
翌日、コロンボはエイドリアンの働くカッシーニ・ワイナリーへと向かい、工場見学をした。
そして係員に話を聞き、工場の電話を借りて、火曜日の天気を聞く。
その電話でさらにリックの婚約者にリックのことを聞き、ある仮説を立てたのだった。
その後、エイドリアンに話を聞きに行くコロンボ。秘書のカレンにうっとうしがられながらも、中に通してもらったコロンボ。
ワインをごちそうになりながら、リックのことを尋ねる。
火曜日にここにきたのではないかと質問をしたが、秘書のカレンにも確認してもらい、日曜日が最後だと証言をする。
しかしコロンボは納得できない。
「雨でした、火曜日は。そんな天気で潜りますか?」
「水の下にもぐるのに、天候は関係ないのでは?」
「リックさんは車好きでした。火曜日は雨が降り続いているのに、どうして車にほろを掛けなかったんでしょう?」
風が強いからではないかとの推理をするエイドリアンだったが、コロンボは何となく納得した素振りで退散しようとする。
そこへ警察から電話がかかり、リックの胃の中に二日も食べ物が入っていなかったことが判明する。
コロンボは婚約者はリックの友人たちに「リックが断食をすることはあったか」と質問をするが、スポーツマンだった彼は大食漢でもあったと教えてもらう。
他殺の線が見えてきて、コロンボはエイドリアンの友人たちにも話を聞きに行く。
そして日曜日、一緒にワインを飲んでいたが5分ほどエイドリアンが席を外していたことを教えてもらい、もしやと考え始める。
その足でワインの品ぞろえ豊富な酒屋へと向かい、一時間半で付け焼刃のワインの基礎知識を教えてもらったコロンボは、エイドリアンを再び訪問する。
ワインの銘柄を当てたコロンボに驚くエイドリアン。
コロンボは高級なワインが見てみたいと言い出し、エイドリアンはワインセラーへとコロンボを連れて行く。
そこでクラレットという高級ワインを見つけたコロンボは、エイドリアンの友人から聞いた話を始める。
「そう言えば、NYへ行く前の日、このワインを皆さんで飲んだとか。デカンタに移したのはあなたではなくご友人だそうで」
高級ワインを移すのは自分以外には絶対にさせないと言い切っていたはずのエイドリアンが、なぜ友人に頼んだのか。
コロンボはそれとなく彼を追い詰めるが、エイドリアンは「友人に祝いの言葉をもらったからね。そのお礼に」と答え、その場をしのいだ。
コロンボはカレンの家に出向き、NYに行く前日、日曜日のエイドリアンの行動を尋ねた。
カレンはエイドリアンのために、嘘のアリバイ証言をする。
エイドリアンがワイナリーから帰るのを見たと言ったのだ。
すっかり嫌疑が晴れたと大喜びのコロンボは、エイドリアンとカレンを食事に誘う。
そのことから、カレンはエイドリアンへの疑念を深めていく。
翌日、コロンボとの食事のためにワイナリーから二人で出発するエイドリアンとカレン。いつでも礼儀正しいカレンに「少しは崩してくれて構わない」というエイドリアン。
カレンはそれを喜び、コロンボへの警戒感をあらわにした。
「あの人はあなたを疑っていらっしゃる」
「君も、疑っているんだろう?」
「そうはいいませんが、NYではどうもぼんやりしていらっしゃったので」
そのままコロンボとの食事を楽しんだエイドリアン達。コロンボはすっかりワインマスターになって、食事に合うワインをセレクトしていた。
その出来栄えには、エイドリアンも舌を巻く。
そして最後、食後のワインとして指名した銘柄を聞いて、エイドリアンは言う。
「その銘柄はこの店にはないはずだよ」
しかし、店員は一本だけあったと言ってそれをグラスに注いだ。
嬉々として口に含むエイドリアンだったが、すぐに怒りを露にする。
「これは40度以上の高温にさらしただろう!管理がなっていないじゃないか!こんな素晴らしいものを」
そう言ってレストランを飛び出してしまう。
慌てて追いかえるコロンボは、エイドリアンに言った。
「食い逃げするなら、この手に限りますな」
そして、コロンボはまるで関係な話のように、家族で行ったピクニックの話を始める。
「実はね、この前ピクニックにいったんですよ。家族で。でも最高気温40度にもなって暑くて逃げかえって来たんです。冷蔵庫を修理に出さないといけないなあ。全然ビールが冷えてなくて」
最後に、カレンがアリバイを証言してくれたことをコロンボはエイドリアンに伝えた。
コロンボと別れた後、エイドリアンはカレンになぜ嘘の証言をしたのかと尋ねる。
エイドリアンへの慕情だとカレンは言う。
「あなたのパートナーとして、あなたに尽くしたい。今までも尽くしてきた。だからあなたも私に尽くしてほしい」
結婚してほしいとカレンは言うが、恩を売った形になった彼女との自分の関係が好ましくないとエイドリアンは気分を害した。
コロンボはまだ何の証拠も握っていないにもかかわらず、カレンが嘘をついたことがエイドリアンには厄介に思えたのだ。
その夜、ワインセラーに残った瓶をすべて海へと投げ捨てていくエイドリアン。
そこへやってきたのはコロンボだった。
「あなたなら、最高気温の話をしたら、ピンときてそうするだろうと」
コロンボの予想通り、エイドリアンは高温でダメになったワインを海に捨てに来ていた。
肩の荷が下りた気分だとエイドリアンは安堵した。
「カレンからは結婚を迫られていたし」
エイドリアンを車に乗せたコロンボは、ワイナリーを走り抜けていく。
ここが私のすべてだったとエイドリアンはしみじみ零した。自分が居なくなった後も大丈夫だろうかと心配するエイドリアン。
コロンボは大丈夫だと宥める。そして出口の前で、あるデザートワインを差し出した。
「これをあなたに」
最高のデザートワインを用意していたコロンボを手放しで賞賛するエイドリアン。
「あなたは本当に、よく勉強なさった」
「なによりの誉め言葉です」
二人はワイングラスを傾け、美味に酔いしれるのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
コロンボの「?」①
崖の上に放置された立派な車。ほろは閉じられず、目立つのに誰も気づかない。
コロンボの「?」②
リックの空っぽのおなか。丸二日なぜ何も飲まず食わずだったのか。
そもそも日曜日に殺してはダメなんですよね。でも火曜日まで生かしていたから、空腹がばれてしまった。
コロンボの「?」③
人には注がせないワインを、なぜかその日だけは友人に注いでもらっている。
誰かを殴打したあとの手の震えを気にしたのではないかとコロンボは推理しました。
チチアンって何?と冒頭でさっそく疑問です。
カッシーニ兄弟が今回の主人公なので、必然的にイタリアの風を感じていたわけですが、チチアンもイタリア人でした。
ご本名ティツィアーノ・ヴェチェッリオさんだそうです。うーん知らんなぁ(とことん西洋芸術は音楽以外よく分からない)と思っていたんですけどね、彼の作品を見ていました。
『ウルビーノのヴィーナス』をフィレンツェのウフィツィ美術館で。調べてみたら、なんとなーく記憶の片隅に……あるようなないような(泳ぎ目)
さて、この作品の番組内容紹介をみていたら「人気投票No1」と書いてありました。かなり期待しました。
そして、期待通り、面白くて、それ以上に美しく、綺麗な描かれ方でした。
いつもならコロンボは犯人にしつこく迫り、うっとうしがられ、見ているこちらも「うーん」と思ってしまうシーンがいくつかあるのですが、全体として、とてもまろやかなのです。
みんなエレガントなんです。
リックだけは俗っぽいんけどね(ビーチでダンスしている人のダンスがなんともダサいが、それもそれで時代を感じてGOOD)
私利私欲から殺しているわけではなく、突発的な怒りなんですよねエイドリアンの。
まあ最初は「自分のワインへのこだわりが強すぎる厄介なオッサンかいな」と私も思っていました。
だけど、エイドリアンのこと全然嫌いになれないんです。コロンボに対して怒ることもなく、淡々と粛々と接しているし、ワインの勉強をしてきたコロンボを好意的に受け入れたり。
ああこの人、いい人なんだなってどんどん感じるんです。そしてワインへの情熱が凄い。
最後のレストランのシーンでワインの管理がなっていないと怒ったシーン。それが彼の全てなんだなと感じました。
その前後のカレンへの言葉もそうです。自分に尽くしてくれる女性、自分のために嘘まで吐いた女性だけれど」
「君とは使用者と秘書という関係以外の何ものでもない」って。
本当に、エイドリアンにはワインしか無いわけです。感情の機微が、ワインによるものなんですよね。
そう考えるとワインクレイジーだなとも思えるわけですが、ワインに対して真摯に向かっている姿を見ると、とてもリックが言っていたような軽口が叩けないんだよなあ。
それに人柄も悪くないと言うかね。冗談を言ったり、人を楽しませたり、美味しいものを飲んでほしいっていう気持ちがあるわけですよ。
最後まで潔かったしね。彼はきっと遅かれ早かれ自首していたんじゃないかな。
彼は罪を背負ったまま居られるようには到底思えなくて。
さてイタリアの風を感じたというのは、ワイナリーが舞台で、名前がカッシーニだからというだけではありません。
音楽がとても特徴的でした。かといってイタリアチックだったか?と言われるとそうでもなかったのですけれど、チェンバロの音とフーガっぽい音楽。
ミュートっぽいトロンボーンの音もしたけど、これは特にイタリア感はなかったなあ。時折鳴る「カーン」という乾いた鐘の音も印象的。
これはミサ曲っぽい雰囲気がありましたね。
あとは、エイドリアンのネクタイがオシャレでした笑。
人気投票1位なのも頷ける面白さでした。私は祝砲の挽歌も好きなんですけれど、双璧になりそうですね。
個人的には、二枚のドガの絵と、パイルD-3の壁の二つも、ラストの圧倒的な高揚感を感じられて好きですが。
ここまで読んでいただきありがとうございました(^^)
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異母弟のリックが所有するワイナリーの経営を任され、ワインづくりにすべてを捧げるエイドリアン。
しかし結婚を控えたリックは、手っ取り早く金が欲しくなり大手の酒造会社にワイナリーを売ると宣言。
口論となり激高したエイドリアンはリックを激しく殴打し失神させる。
彼をワインセラーへと運び、空調を切って置き去りにしてニューヨークへと旅立った。
行きの飛行機内で秘書に
「弟がアカプルコで結婚するらしいから、5000ドルの小切手を切ってやってくれ」
そう伝えたエイドリアンは、NYのオークションで高額なワインを競り落とす。
その頃、リックの婚約者が彼が行方不明になっていることを心配し、警察へと駆け込んでくる。
しかし家出捜索係は不在で、コロンボが対応。最初は門前払いをするが、事情を聞いたコロンボは「自分もイタリア系だから、心配だ」と言って調べてみることに。
アカプルコには兄のエイドリアンからも手紙が届いたらしく、リックと最後に連絡を取った時は兄の家に向かうと言っていたと婚約者は言った。
数日後に帰宅したエイドリアンは遺体を海絵と投げ落として、ダイビング中の事故を偽装する。
リックの遺体が見つかり、コロンボは婚約者に報告。リックの兄エイドリアンには警察から伝えた方がいいかと聞くと、婚約者の友人たちが口々に
「兄さんとは不仲で、ワインオタクの変わり者だったし、リックも兄のことを嫌っていた」
と言う。どうやら、今回の結婚を機に、経営権を他社に売ろうとしていたことが明らかになり、コロンボは事件に裏があるのではないかと考え始めた。
その後、バーで飲んでいると、事件の詳細がニュースで流れる。スポーツ万能のリックが岩に頭をぶつけて死亡したおとがどうしても納得できない。
事件のあった火曜日の天気が気になるコロンボはその場にいる客全員に質問するが、答えは返ってこなかった。
翌日、コロンボはエイドリアンの働くカッシーニ・ワイナリーへと向かい、工場見学をした。
そして係員に話を聞き、工場の電話を借りて、火曜日の天気を聞く。
その電話でさらにリックの婚約者にリックのことを聞き、ある仮説を立てたのだった。
その後、エイドリアンに話を聞きに行くコロンボ。秘書のカレンにうっとうしがられながらも、中に通してもらったコロンボ。
ワインをごちそうになりながら、リックのことを尋ねる。
火曜日にここにきたのではないかと質問をしたが、秘書のカレンにも確認してもらい、日曜日が最後だと証言をする。
しかしコロンボは納得できない。
「雨でした、火曜日は。そんな天気で潜りますか?」
「水の下にもぐるのに、天候は関係ないのでは?」
「リックさんは車好きでした。火曜日は雨が降り続いているのに、どうして車にほろを掛けなかったんでしょう?」
風が強いからではないかとの推理をするエイドリアンだったが、コロンボは何となく納得した素振りで退散しようとする。
そこへ警察から電話がかかり、リックの胃の中に二日も食べ物が入っていなかったことが判明する。
コロンボは婚約者はリックの友人たちに「リックが断食をすることはあったか」と質問をするが、スポーツマンだった彼は大食漢でもあったと教えてもらう。
他殺の線が見えてきて、コロンボはエイドリアンの友人たちにも話を聞きに行く。
そして日曜日、一緒にワインを飲んでいたが5分ほどエイドリアンが席を外していたことを教えてもらい、もしやと考え始める。
その足でワインの品ぞろえ豊富な酒屋へと向かい、一時間半で付け焼刃のワインの基礎知識を教えてもらったコロンボは、エイドリアンを再び訪問する。
ワインの銘柄を当てたコロンボに驚くエイドリアン。
コロンボは高級なワインが見てみたいと言い出し、エイドリアンはワインセラーへとコロンボを連れて行く。
そこでクラレットという高級ワインを見つけたコロンボは、エイドリアンの友人から聞いた話を始める。
「そう言えば、NYへ行く前の日、このワインを皆さんで飲んだとか。デカンタに移したのはあなたではなくご友人だそうで」
高級ワインを移すのは自分以外には絶対にさせないと言い切っていたはずのエイドリアンが、なぜ友人に頼んだのか。
コロンボはそれとなく彼を追い詰めるが、エイドリアンは「友人に祝いの言葉をもらったからね。そのお礼に」と答え、その場をしのいだ。
コロンボはカレンの家に出向き、NYに行く前日、日曜日のエイドリアンの行動を尋ねた。
カレンはエイドリアンのために、嘘のアリバイ証言をする。
エイドリアンがワイナリーから帰るのを見たと言ったのだ。
すっかり嫌疑が晴れたと大喜びのコロンボは、エイドリアンとカレンを食事に誘う。
そのことから、カレンはエイドリアンへの疑念を深めていく。
翌日、コロンボとの食事のためにワイナリーから二人で出発するエイドリアンとカレン。いつでも礼儀正しいカレンに「少しは崩してくれて構わない」というエイドリアン。
カレンはそれを喜び、コロンボへの警戒感をあらわにした。
「あの人はあなたを疑っていらっしゃる」
「君も、疑っているんだろう?」
「そうはいいませんが、NYではどうもぼんやりしていらっしゃったので」
そのままコロンボとの食事を楽しんだエイドリアン達。コロンボはすっかりワインマスターになって、食事に合うワインをセレクトしていた。
その出来栄えには、エイドリアンも舌を巻く。
そして最後、食後のワインとして指名した銘柄を聞いて、エイドリアンは言う。
「その銘柄はこの店にはないはずだよ」
しかし、店員は一本だけあったと言ってそれをグラスに注いだ。
嬉々として口に含むエイドリアンだったが、すぐに怒りを露にする。
「これは40度以上の高温にさらしただろう!管理がなっていないじゃないか!こんな素晴らしいものを」
そう言ってレストランを飛び出してしまう。
慌てて追いかえるコロンボは、エイドリアンに言った。
「食い逃げするなら、この手に限りますな」
そして、コロンボはまるで関係な話のように、家族で行ったピクニックの話を始める。
「実はね、この前ピクニックにいったんですよ。家族で。でも最高気温40度にもなって暑くて逃げかえって来たんです。冷蔵庫を修理に出さないといけないなあ。全然ビールが冷えてなくて」
最後に、カレンがアリバイを証言してくれたことをコロンボはエイドリアンに伝えた。
コロンボと別れた後、エイドリアンはカレンになぜ嘘の証言をしたのかと尋ねる。
エイドリアンへの慕情だとカレンは言う。
「あなたのパートナーとして、あなたに尽くしたい。今までも尽くしてきた。だからあなたも私に尽くしてほしい」
結婚してほしいとカレンは言うが、恩を売った形になった彼女との自分の関係が好ましくないとエイドリアンは気分を害した。
コロンボはまだ何の証拠も握っていないにもかかわらず、カレンが嘘をついたことがエイドリアンには厄介に思えたのだ。
その夜、ワインセラーに残った瓶をすべて海へと投げ捨てていくエイドリアン。
そこへやってきたのはコロンボだった。
「あなたなら、最高気温の話をしたら、ピンときてそうするだろうと」
コロンボの予想通り、エイドリアンは高温でダメになったワインを海に捨てに来ていた。
肩の荷が下りた気分だとエイドリアンは安堵した。
「カレンからは結婚を迫られていたし」
エイドリアンを車に乗せたコロンボは、ワイナリーを走り抜けていく。
ここが私のすべてだったとエイドリアンはしみじみ零した。自分が居なくなった後も大丈夫だろうかと心配するエイドリアン。
コロンボは大丈夫だと宥める。そして出口の前で、あるデザートワインを差し出した。
「これをあなたに」
最高のデザートワインを用意していたコロンボを手放しで賞賛するエイドリアン。
「あなたは本当に、よく勉強なさった」
「なによりの誉め言葉です」
二人はワイングラスを傾け、美味に酔いしれるのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
コロンボの「?」①
崖の上に放置された立派な車。ほろは閉じられず、目立つのに誰も気づかない。
コロンボの「?」②
リックの空っぽのおなか。丸二日なぜ何も飲まず食わずだったのか。
そもそも日曜日に殺してはダメなんですよね。でも火曜日まで生かしていたから、空腹がばれてしまった。
コロンボの「?」③
人には注がせないワインを、なぜかその日だけは友人に注いでもらっている。
誰かを殴打したあとの手の震えを気にしたのではないかとコロンボは推理しました。
チチアンって何?と冒頭でさっそく疑問です。
カッシーニ兄弟が今回の主人公なので、必然的にイタリアの風を感じていたわけですが、チチアンもイタリア人でした。
ご本名ティツィアーノ・ヴェチェッリオさんだそうです。うーん知らんなぁ(とことん西洋芸術は音楽以外よく分からない)と思っていたんですけどね、彼の作品を見ていました。
『ウルビーノのヴィーナス』をフィレンツェのウフィツィ美術館で。調べてみたら、なんとなーく記憶の片隅に……あるようなないような(泳ぎ目)
さて、この作品の番組内容紹介をみていたら「人気投票No1」と書いてありました。かなり期待しました。
そして、期待通り、面白くて、それ以上に美しく、綺麗な描かれ方でした。
いつもならコロンボは犯人にしつこく迫り、うっとうしがられ、見ているこちらも「うーん」と思ってしまうシーンがいくつかあるのですが、全体として、とてもまろやかなのです。
みんなエレガントなんです。
リックだけは俗っぽいんけどね(ビーチでダンスしている人のダンスがなんともダサいが、それもそれで時代を感じてGOOD)
私利私欲から殺しているわけではなく、突発的な怒りなんですよねエイドリアンの。
まあ最初は「自分のワインへのこだわりが強すぎる厄介なオッサンかいな」と私も思っていました。
だけど、エイドリアンのこと全然嫌いになれないんです。コロンボに対して怒ることもなく、淡々と粛々と接しているし、ワインの勉強をしてきたコロンボを好意的に受け入れたり。
ああこの人、いい人なんだなってどんどん感じるんです。そしてワインへの情熱が凄い。
最後のレストランのシーンでワインの管理がなっていないと怒ったシーン。それが彼の全てなんだなと感じました。
その前後のカレンへの言葉もそうです。自分に尽くしてくれる女性、自分のために嘘まで吐いた女性だけれど」
「君とは使用者と秘書という関係以外の何ものでもない」って。
本当に、エイドリアンにはワインしか無いわけです。感情の機微が、ワインによるものなんですよね。
そう考えるとワインクレイジーだなとも思えるわけですが、ワインに対して真摯に向かっている姿を見ると、とてもリックが言っていたような軽口が叩けないんだよなあ。
それに人柄も悪くないと言うかね。冗談を言ったり、人を楽しませたり、美味しいものを飲んでほしいっていう気持ちがあるわけですよ。
最後まで潔かったしね。彼はきっと遅かれ早かれ自首していたんじゃないかな。
彼は罪を背負ったまま居られるようには到底思えなくて。
さてイタリアの風を感じたというのは、ワイナリーが舞台で、名前がカッシーニだからというだけではありません。
音楽がとても特徴的でした。かといってイタリアチックだったか?と言われるとそうでもなかったのですけれど、チェンバロの音とフーガっぽい音楽。
ミュートっぽいトロンボーンの音もしたけど、これは特にイタリア感はなかったなあ。時折鳴る「カーン」という乾いた鐘の音も印象的。
これはミサ曲っぽい雰囲気がありましたね。
あとは、エイドリアンのネクタイがオシャレでした笑。
人気投票1位なのも頷ける面白さでした。私は祝砲の挽歌も好きなんですけれど、双璧になりそうですね。
個人的には、二枚のドガの絵と、パイルD-3の壁の二つも、ラストの圧倒的な高揚感を感じられて好きですが。
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